【読書】JR上野駅公園口/柳美里
こんにちは!のんです。
今回は「JR上野駅公園口」についてレビューしていきたいと思います。
最近読んだ中では結構難しかった・・・
著者のプロフィール
国籍:韓国
職業:劇作家、小説家
出身:神奈川県
現在は福島県南相馬市(主人公の出身地)にお住まいだそうです。
(柳美里 - Wikipedia より引用)
本作品について
「全米図書賞」を受賞
2020年に、私がこの作品を知るきっかけとなった、
アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門を受賞しています。
“ニュースで英語術”でも取り上げられていました!
全米図書賞(National Book Awards)とは
全米図書協会によって運営されている。小説・ノンフィクション・詩・翻訳文学・児童文学の5部門がある。
(2020年全米図書賞が発表 翻訳文学部門で柳美里『JR上野駅公園口』が受賞 | 文学賞・賞 | Book Bang -ブックバン- より引用)
あらすじ
1964年開催の東京オリンピックの前年に、集団就職で上京した男性の生涯を描いた物語。
地元福島に残した家族のために一生懸命働き続けるが、妻と息子に先立たれ、人生に絶望し、やがて流れ着くように上野公園でホームレスとして生活するようになる。
感想
物語の最初から最後まで、社会の“不条理”について描かれた、何とも痛切な作品でした。
序盤に、主人公のとった最期が描かれているため、それを念頭に入れながら読み進めることで、ずっしりと胸に響くものがありました。
主人公の出身地が福島県南相馬市という設定のため、3.11にも触れています。
上京し出稼ぎしているときにそれは起こりました。
帰る場所をなくし、東京にも居場所がなくなってしまう。
この「居場所のない人の物語」というのが、柳美里さんの作品に共通するテーマだそうです。その背景には本人の生い立ちが関係しているとのこと。
また、ホームレス生活の様子が異様にリアルなのは、実際に作者が上野公園に出向いて取材を行ったからだそうです。中でも物語終盤の、《山狩り》と呼ばれる、少年グループによる襲撃事件はとてもショックでした。
2020年オリンピック招致のために片隅に追いやられるホームレスの姿も胸が締め付けられます。
ここにも日本の闇が垣間見えます。
ホームレスと聞くと、ネガティブな印象しかないし、無関心だと思います。
しかし、コロナ禍で職を失い、つい数か月前まで普通に働いていた人が、やむを得ずホームレスになってしまった、というような現状も事実です。
こういった人々に焦点を当てた作品こそ、今まさに読んでほしい本だな、と思います。
この作品に関して、作者のインタビューも多くネットに掲載されています。
ぜひそちらも併せてお読みいただきたいです!
以上ざっくりですが、レビューでした!